2010年4月11日日曜日

トリケラトプス  Triceratops  


トリケラトプス Triceratops
白亜紀後期(マーストリヒト期)
北米


 先日、ディプロドクスの頭骨の形が成長過程で変化する、という発表がありましたが、ディプロドクス以外の恐竜・古生物でもこうした成長過程での形質の変化、Ontogeny個体発生と呼ばれる分野のの研究・発表は数多くあります。その中でも、変化の様子が判りやすく面白い例の一つと思われるのが、トリケラトプスの頭骨の研究です。その頭骨の形の変化は、"Major cranial changes during Triceratops ontogeny"の中の頭骨の画像を見ていただければ一目瞭然ですが、今回は簡単にそれの復元版を描いてみました。左から、赤ちゃん、幼体、成体です。実際には、さらに細かく成長段階が研究されていますし、もちろん雌雄差・個体差もあると思われます。

 頭骨全体のバランスも見た目どおりに違いがありますが、その他には、眼の上の2本の角の向き、フリルの周りの棘の形状の変化がポイントとして挙げられています。フリルの周囲の棘は、赤ん坊~子供の間は鋭く、成長するほど目立たなくなるようです。また、角竜の角はステゴサウルスの尻尾のスパイクに比べると骨密度それほど高くないそうで、成体のトリケラの角は武器としての目的よりも、同種間でのアピールのほうが主だったのでは、と最近では考えられているようです。と言っても、武器として全く機能しないほど脆い、という訳でもないでしょうし、いざとなれば武器としてもその役割をそれなりに果たせたのでは、と思います。


参考資料

John R. Horner and Mark B. Goodwin
"Major cranial changes during Triceratops ontogeny"
Mark B. Goodwin, William A. Clemens, John R. Horner and Kevin Padian
"The Smallest Known Triceratops Skull: New Observations on Ceratopsid Cranial Anatomy and Ontogeny"

Science Daily:Smallest Triceratops Skull Ever Found Provides Clues To Dinosaur's Growth
The horned dinosaurs
「Bizarre Dinosaur」 
 幼体から成体までの頭骨が並んだ画像があります。
「AL」
 主人公のトリケラトプスは、現在の研究を反映させたデザインになっています。

(文・イラスト ふらぎ)