2011年8月18日木曜日

オフィアコドン Ophiacodon mirus
















Ophiacodon mirus
オフィアコドン ミルス

北米
全長 1.6m
 ペルム紀前期

:

哺乳類の遠い先祖の系統とされる単弓類、以前は哺乳類型爬虫類と言われていた動物群の一種。その中でもオフィアコドンが属するペリコサウルス類は、ディメトロドンが属するスフェナコドン類やエダフォサウルス類も含まれており、ペルム紀前期に繁栄した動物群でもあります。。
オフィアコドンは、その名前の由来の「ヘビの歯」にもあるように、細い歯を持っており、そこから主に魚を捕食する半水棲動物説がある一方で、縦に高く、横幅の狭い頭部が水中での捕食には向かない、また比較的しっかりとした四肢から、主に陸上で生活していたのでは、という説もあります。
今回は、陸上生活説に基づいてイラストを描いてみました。陸上での行動を想定して、胴体は少し細めにしています。


オフィアコドンには現在複数種が報告されており、今回参考にしたフィールド博物館の骨格はmirus種になります。全長は1.6m。これが最大と言われるmajor種だと全長2.6mになると言われています。

















(全身骨格 2007年 シカゴ・フィールド博物館にて撮影)


主な参考資料

・"Encyclopedia of Paleoherpetology. Pelycosauria" ROBERT R.REISZ


(イラスト・文 ふらぎ
(恐竜・古生物イラストブログ「Extinct Creatures」)

2011年8月4日木曜日

ラプトレックス  Raptorex kriegsteini



Raptorex kriegsteini
ラプトレックス クリエグステイニ

白亜紀前期(?)
中国
全長 2.6m


白亜紀前期のティラノサウルス科の恐竜。これまで、白亜紀後期のティラノサウルス科の恐竜の小さな前肢は、大型化した頭部とのバランスを取るため小型化した、という説がありましたが、このラプトレックスが時代がより古く、また頭も小さく、体も小さいにも関わらず前肢がすでに小さいため、ティラノサウルス科の小さな前肢は、頭部の大型化とは関係が無い、という事の根拠になりそうだったのですが、、、、

その後、このラプトレックスが白亜紀後期のモンゴルから発見される大型ティラノサウルス科のタルボサウルスの子供ではないか、と言う説も出されています。これは、そもそもこのラプトレックスの化石は化石収集家が私的に購入したもので、発掘された場所が確定されていない、という事が原因でもあります。化石は、化石そのものだけでなく、発見された場所やその地層のデータ、発見された状態等にも非常に重要な情報があります。学術的な発掘の場合は当然、すべての記録をしっかり取るのですが、そうでない場合は、そのデータも無い事が多く、それが故に化石自体は良い物であっても、研究するには支障が出てくる場合もあるのです。

今回のイラストは、2011年の東京・国立科学博物館で開催の恐竜博2011で展示の全身骨格を基に描いています。ラプトレックスの復元に関しては、オフィシャルなイラストと模型が発表されています。特に頭部の復元模型は個人的にも非常に納得の行く物で、いまさら私がイラストを描く必要も無いのですが、全身骨格が魅力的だったので、描いてみたくなったのです。ただ、オフィシャルのイラスト・模型と全く同じでもつまらないので、羽毛の生え方・量は違うものにしました。オフィシャルのものより全体的に羽毛が多いのですが、小さい恐竜といっても、現生の鳥類に比べれば大きく、ダチョウくらいのボリュームはあるので、ここまで全身が羽毛だったかは、自信が無いところです。














ラプトレックス頭部復元模型
(恐竜博2011にて撮影)

前肢は、今や定番の復元となっている、手のひらが内側を向く小さく前へ倣えスタイル。

















手のひらが後ろを向く哺乳類のような、いわゆる「恨めしやスタイル」の復元は、ここ数年では随分少なくなりました。


主な参考資料

・「恐竜博2011」カタログ

・Reanalysis of “Raptorex kriegsteini”: A Juvenile Tyrannosaurid Dinosaur from Mongolia
Fowler DW, Woodward HN, Freedman EA, Larson PL, Horner JR (2011)

(イラスト・文 ふらぎ
(恐竜・古生物イラストブログ「Extinct Creatures」)