Plotosaurus
アメリカ・カルフォルニア州
全長 約9m
白亜紀後期
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"A fishy mosasaur: the axial skeleton of Plotosaurus(Reptilia, Squamata) reassessed."Lindgren, J., Jagt, J.W.M. & Caldwell, M.W. 2007: の骨格図を基に描いています。基にした骨格図では、尻尾の先が下方に曲がっており、魚竜やサメのような尾ヒレを持っていた可能性が示唆されています。このモササウルス類の尾ヒレの存在は、その後に発表された"Convergent Evolution in Aquatic Tetrapods: Insights from an Exceptional Fossil Mosasaur"Johan Lindgren, Michael W. Caldwell, Takuya Konishi, Luis M. Chiappe においてさらにはっきりと表現されています。ただし、どちらの論文においても、尾ヒレの上側の部分は痕跡が残っていないため、あくまで推測として形が示されています。
また、尾ヒレの曲がる角度も、後者の論文において紹介されているプラテカルプスの標本ではもっと大きく下方に曲がっているため、モササウルス類の中でも最も進化型と考えられているプロトサウルスでも同じような尾ヒレの角度になっていた可能性も考えましたが、今回はあくまで論文に掲載の骨格図に準じました。
プロトサウルスは、モササウルス類としては細長い口と、幅が狭く長さのあるオール型の前後ヒレも特徴で(クリダステスやプラテカルプスの前後ヒレは卓球のラケット型。ティロサウルスはプロトサウルスに似たオール型です)、その姿はモササウルス類というよりも、原始的な魚竜であるウタツサウルスを連想させます。今回のイラストの基になった論文のタイトルにも”A fishy mosasaur”とあるくらいですから、モササウルスとしては異質なデザインと言って良いかも知れません。モササウルス類は出現から白亜紀末の絶滅までは3000万年と、他の中生代の海棲爬虫類と比べても短い期間の繁栄でした。魚竜が2億5千万年前に現れ9000万年前に姿を消すまで1億6千万年間存在していた事、その魚竜と入れ替わるようにモササウルス類が現れた事から、もし白亜紀末のモササウルス類の絶滅が無ければ、魚竜と同じような姿に進化していたのか、それともまた違った進化の姿を見せていたのか、等といろいろ想像してしまいます。
プロトサウルス全身骨格
(2013年 ロサンゼルス郡立自然史博物館にて撮影)
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主な参考資料
・A fishy mosasaur: the axial skeleton of Plotosaurus(Reptilia, Squamata) reassessed."
Lindgren, J., Jagt, J.W.M. & Caldwell, M.W. 2007
・"Convergent Evolution in Aquatic Tetrapods: Insights from an Exceptional Fossil Mosasaur"
Johan Lindgren, Michael W. Caldwell, Takuya Konishi, Luis M. Chiappe
・「恐竜解剖」(クリストファー・マクガワン)
・きしわだ自然資料館特別展「モササウルス」
(イラスト・文 ふらぎ)
(恐竜・古生物イラストブログ「Extinct Creatures」)