2014年1月4日土曜日

カウディプテリクス Caudipteryx

Caudipteryx zoui
  カウディプテリクス・ゾウイ 

全長: 約1m
  発見地: 中国 
時代: 白亜紀前期


  化石に腕と尾部に羽毛の痕跡が残る恐竜です。別名、尾羽鳥とも言われます。
発見当初は、まだ羽毛の生えた恐竜化石の発見数は少なく注目されました。全身が羽毛で覆われており、また尾骨の先端部は、骨が癒合して尾端骨と呼ばれる骨になっています。これは扇状に広がる尾羽を持つ現在の鳥類によく見られる構造です。このことから、カウディプテリクスの尾羽は扇状に広がる復元がなされています(尾端骨は、ベイピャオサウルスや他のオヴィラプトル類など、鳥類に近縁の獣脚類にも見られます)。
腕にも羽毛がありましたが、現在の鳥類が持つ風切羽とは異なり、羽毛は羽軸に沿った対称的な構造をしていました。即ち、カウディプテリクスは飛翔できず、羽毛は保温や求愛に用いられたと考えられています。
上顎前部にある数本を除き、歯のないクチバシを持ちます。
尾が短い、歯が殆どないことなどの特徴から、原始的なオヴィラプトル類と考えられています。
注目すべきは、内臓と思われる部分から、胃石とみられる大量の小石が発見されたことです。この事と口の形態から、植物食と考えられています。これらの発見は、未だ議論の多いオヴィラプトル類の食性について考える材料となるでしょう。

発見当時の注目度は大変なもので、世界的な科学雑誌『Nature』に記載論文が掲載される程でした。派手な羽毛を生やした復元模型の写真が、新聞に掲載されたこともあります。福井県立恐竜博物館には、その時の模型が現在も展示されています
なお、よく展示されている復元骨格は、ほとんどがC. zouiの物です。


・主な参考文献

・(記載論文1
Ji, Q.; Currie, P.J.; Norell, M.A.; Ji, S. (1998). "Two feathered dinosaurs from northeastern China". Nature 393 (6687): 753–761

・(記載論文2)
Zhou, Z.; Wang, X. (2000). "A new species of Caudipteryx from the Yixian Formation of Liaoning, northeast China" (PDF). Vertebrata Palasiatica 38 (2): 113–130.

・http://qilong.wordpress.com/2010/05/10/the-origin-of-oviraptorosaurs-diet-in-oviraptorosaurs-iii/

・Maryańska, T.; Osmólska, H.; Wolsan, M. (2002). "Avialan status for OviraptorosauriaActa  Palaeontologica Polonica 47 (1): 97116.

・福井県立恐竜博物館展示解説書
・恐竜大陸 展示解説書
・大恐竜展 ゴビ砂漠の驚異 展示解説書

(解説文・ラクティア


今回は、解説文を恐竜ファンの生物学専攻の学生さん・ラクティアさんにお願いしました。私よりもずっと真面目な恐竜ファンだけに、詳細な解説となっています。参考資料のリストは、古生物専攻では無いとは言え流石です。私も勉強になりました。
カウディプテリクスは外見的にも特徴的で、ちょっと丸めで小型の頭部、非常に長い後足と、他の恐竜にはあまりないプロポーションをしています。この「モデル体型」な姿は、イラストを描いていて楽しかったです。
(イラスト・ふらぎ) 


(ドイツ・レーヴェントール古生物博物館にて2011年撮影)

(恐竜・古生物イラストブログ「Extinct Creatures)

2013年9月23日月曜日

エダフォサウルス Edaphosaurus

 Edaphosaurus boanerges
エダフォサウルス・ボアネルゲス

全長:約2.5m
発見地:北米
時代:ペルム紀前期
(エダフォサウルス属としては石炭紀後期~ペルム紀前期)


同時代・同地域で発見されるディメトロドンと対で紹介される事も多い動物。恐竜ではなく、哺乳類に繋がる系統の動物と考えられています。

肉食性のディメトロドンに対し、エダフォサウルスは植物食性とされます。通常の歯だけでなく、上顎口蓋や下顎内側にも多数の粒上の突起があり、すでにかなり高度な植物食への適応があったようです。また、背中の帆に関しても、長く上に伸びた脊椎突起からさらに横方向に小さな棘が多数あり、これもディメトロドンとの容姿の違いの一つになっています。


エダフォサウルスには複数の種類が報告されており、今回は一番良く知られているボアネルゲス種の展示を参考に描いています。

エダフォサウルス・ボアネルゲス
(東京・国立科学博物館にて撮影)



 こちらは、エダフォサウルス・ポゴニアス
(シカゴ・フィールド博物館にて撮影)。

エダフォサウルス属では最大種で、全長約3m。背中の帆は、ボアネルゲスに比べ低めになっています。展示骨格や論文の図板を見る限り、頭骨の形状も結構違います。


 :
主な参考資料
・"Encyclopedia of Paleonherpetology Pelycosauris"
 Robert R. Reisz

・「哺乳類型爬虫類」(金子隆一 朝日選書

  (イラスト・文:ふらぎ
(恐竜・古生物イラストブログ「Extinct Creatures)

2013年8月17日土曜日

ヘノドゥス Henodus


 ヘノドゥス ケリュオプス
 Henodus chelyops

全長 1m
ドイツ
三畳紀後期
一見カメのようですが、カメよりも首長竜に近縁の海棲爬虫類・板歯類の1種。板歯類というと馴染みが薄いかもしれませんが、同じ板歯類のプラコドゥス等と一緒に古生物図鑑で紹介される事も多いので、姿形には見覚えのある方も多いかも知れません。

板歯類の全身骨格は国内では見たことが無く、それを見る事は古生物好きとしての夢の一つでした。2011年には、ドイツ、ニューヨークと立て続けにその展示を見る事が出来、特にドイツ・チュービンゲンではこのヘノドゥスの実物化石とも対面。地味ながら素晴らしい展示に驚いたものです。

今回のイラストでは、以前製作したプセフォデルマキヤモドゥスと同じように、前肢をトカゲ型に表現しています。姿形からカメと同じような関節の曲がり方に表現されるのですが、カメとは甲羅のつくりや骨格が違う事と、それ故に手足が胴体内には引っ込みそうに無いため、一般的な肘の曲がり方にしてみました。

左・ヘノドゥス  右・プラコドゥス
(2011年 アメリカ自然史博物館にて撮影)


主な参考資料
・"Encyclopedia of Paleonherpetology  Sauropterygia1" O.Rieppel
  (イラスト・文:ふらぎ
(恐竜・古生物イラストブログ「Extinct Creatures)


2013年6月28日金曜日

プロトケラトプス Protoceratops


 Protoceratops andrewsi
プロトケラトプス・アンドリュウシ
全長 約2m
モンゴル
白亜紀前期


代表的な初期の角竜の1種。子供から大人まで、数多くの化石が発見されています。角竜の特徴の一つであるクチバシと共に、小さなキバ状の歯も持っており、原始的な形態を残しています。

今回のイラストは、林原自然科学博物館により発掘され、組み立てられた骨格を元に描いています。
(2013年 「モンゴル恐竜化石展」にて撮影)
この組み立て骨格は非常に精度の高い復元・組み立て作業がされており、世界でもトップクラスの恐竜組み立て骨格かと。フリルの形状などから、メスと推測されているようです。


こちらは、ヴェロキラプトルと一緒に見つかった有名な闘争化石。
(2013年 「モンゴル恐竜化石展」にて撮影)


子供から大人までの頭骨を並べた、これも有名な展示
(2011年 ニューヨーク・アメリカ自然史博物館にて撮影)

私の子供の頃は、ロイ・チャップマン・アンドリュースの発掘隊がゴビ砂漠で世界で最初に発見した恐竜の卵化石は、このプロトケラトプスの卵、となっていましたが、現在では小型獣脚類・オヴィラプトルの卵と考えられているようです。


主な参考資料
・「モンゴル恐竜化石展」図録(2013)


(イラスト・文:ふらぎ
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2013年6月19日水曜日

シュヴウイア Shuvuuia

シュヴウイア デセルティ
Shuvuuia deserti

全長約60cm
モンゴル
白亜紀後期

前回紹介のモノニクスと同じ、アルバレッツサウルス類に属する恐竜です。モノニクスとの違いでもあり、またこのシュヴウイアの特徴でもあるのが、前肢の指です。第1指(親指)はモノニクスと同じように大型化していますが、第2指と第3指が非常に小さくなっていますが残っています。最初に発見された化石では第1指だけと見られていましたが、その後、林原自然科学博物館の発掘隊によって発見された化石により、第2指、第3指の存在が判りました。また、この発見により、モノニクス等、他のアルバレッツサウルス類にも小さな第2,3指があった可能性が示唆されています。さらに、このシュヴウイアはアルバレッツサウルス類の中でも、原始的な羽毛のような痕跡が見つかっている恐竜でもあります。
(3本指が確認できる標本・
大阪市立自然史博物館・特別展「モンゴル恐竜化石展」にて撮影)



主な参考資料
・"A new specimen of Shuvuuia deserti Chiappe et al., 1998, from the Mongolian Late Cretaceous with a discussion of the relationships of alvarezsaurids to other theropod dinosaurs."
Suzuki, S, L. Chiappe, G. Dyke, M. Watabe, R. Barsbold and K. Tsogtbaatar (2002).

・「モンゴル恐竜化石展」図録


 イラスト・文:ふらぎ



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2013年6月6日木曜日

モノニクス Mononykus


モノニクス オレクラヌス
Mononykus olecranus

全長: 90cm
発見地:モンゴル 
時代:白亜紀後期
 
獣脚類の中のアルバレッツサウルス類の1種。名前の由来通り、前肢には大型化した第一指(親指)の一本しか指がありません。この指の機能については、シロアリのアリ塚をこの指で壊し、シロアリを食べていた、という説が良く知られていますが、、まだはっきりとした事は判っていません。



モノニクス全身骨格復元
(アメリカ自然史博物館にて2011年撮影)


主な参考資料

・「恐竜王国2012」図録
・「恐竜博2005」図録
・「モンゴル恐竜化石展」図録
  (イラスト・文:ふらぎ


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2013年6月2日日曜日

イグアノドン Iguanodon (旧復元)

 Iguanodon bernissartensis
イグアノドン ベルニサルテンシス(旧復元)

全長: 8m
発見地:ベルギー(その他、ヨーロッパ)
時代:白亜紀前期
 
イグアノドンは最初に学名を付けられた恐竜です。その学名が付けられてしばらくは、鼻の上にサイのような角を持つ、いかにも「爬虫類」という姿で復元されていました。
そのイグアノドンの姿が、現在の復元に一気に近づいたのが最初のイグアノドンの発見から約50年後、1878年のベルギーのベルニサール炭鉱での発見でした。30体とも言われるイグアノドンの化石が見つかり、さらにその中には関節の繋がった状態、つまり生きていた時の姿に近い状態のものも多く含まれていました。この発見はイグアノドンだけでなく、恐竜全体の復元の研究を大きく進展させました。ここで発見された化石は、組み立てられベルギー王立自然科学博物館に展示される事になります。今回のイラストは、その展示骨格を基に描いたものです。


(ベルギー王立自然科学博物館にて2012年撮影)

現在の復元に近づいた、と解説しましたが、当時はまだ尻尾を引きずったカンガルー型・もしくは日本ではゴジラ型とも言われる復元スタイルが「最新」でもありました。このベルギーの展示もゴジラ型スタイルです。
2012年にベルギー王立自然科学博物館で、当時の復元のままのイグアノドンの展示を見た際、その化石の保存状態の見事さと共に、非常に精密に組み立てられた復元骨格に驚きました。もちろん復元としては古いスタイルなのですが、各関節が大きく外れる事もなく、また左右のバランスにも狂いが少ない、「綺麗」な骨格なのです。

現在の復元を基にした骨格にも精度の差、組み立て手法の差があるように、各年代での復元骨格、そしてイラストや模型にも精度の差があります。今回は、精度が高いと感じたベルギーの骨格に沿った復元を試みたらどうなるか、という主旨で描いています。


         (現在の復元を基にした作品 )





こちらは、ベルリン市立動物園内のアクアリウム前のイグアノドン像。1930年代の製作だそうですが、プロポーションや前肢の各指の長さの正確さや、顔がトカゲ型では無く、頭骨に近い形状&クチバシ状の口先など、非常に精度の高い造形で驚かされます。

:主な参考資料
・ベルギー王立自然科学博物館・ガイドブック

・特別展「イグアノドン」図録(1985年開催)

 (イラスト・文:ふらぎ

(恐竜・古生物イラストブログ「Extinct Creatures)