2011年2月14日月曜日

ヒュプロネクトル Hypuronector
















Hypuronector limnaios
ヒュプロネクトル リムナイオス

北米
全長 12cm
三畳紀後期
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ヒプロネクター、ハイプロネクター等と表記される事もありますが、ここではラテン語読みに合わせています。
如何にも木の葉に擬態したような尻尾と、長い四肢が特徴的な爬虫類です。尻尾の形と化石が湖の底で形成された地層で発見されている事から、水生生活説が一時提唱されましたが、現在では樹上生活をしていたと考えられているようです。一方で、その尻尾をラダー(舵)として、長い前後肢の間に皮膜を持つ、ムササビのような滑空する動物としての説もあり、海外の書籍にはそのようなイラストも見られます。系統的には、樹上生活する動物と考えられているメガランコサウルスやドレパノサウルスを含むドレパノサウルス形類に属するとされています。

今回のイラストでは、まだ発見されていない前後の指骨と、首、上顎の部分の詳細は描いていません。樹上生活説として描いていますが、現生の樹上生のトカゲのような、樹皮に張り付くように移動すると考えると、下方向に幅のある尻尾が移動の時に邪魔にならなかったのか、という疑問も。長い四肢で体を持ち上げていたのか、枝から体を吊り下げるよう移動をしていたのか(Alain Beneteau氏がこの復元でイラストを描いています)。また、この尻尾が葉への擬態としても、この尻尾の形に近い植物が同じ時代・地域に存在していたかどうかも気になります。シンプルなデザインですが、考え出すとなかなか不思議な動物です。


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主な参考資料

・The Hairy Museum of Natural History
「Monkey-Lizards of the Triassic」  

・"The taxonomy and paleobiology of the Late Triassic (Carnian-Norian: Adamanian-Apachean) drepanosaurs (Diapsida: Archosauromorpha: Drepanosauromorpha). New Mexico Museum of Natural History and Science Bulletin 46," Renesto, Silvio, Spielmann, Justin A., Lucas, Spencer G. and Tarditi Spagnoli, Georgio,

・"A new and unusual aquatic reptile from the Lockatong Formation of New Jersey (Late Triassic, Newark Supergroup)." Colbert, E. H., and Olsen, P. E. (2001).

・「The World Encyclopedia of Dinosaurs & Prehistoric Creatures」
Dougal Dixon

・「La Terre avant les dinosaures 」Sebastien Steyer

(イラスト・文 ふらぎ
恐竜・古生物イラストブログ「Extinct Creatures」)