Raptorex kriegsteini
ラプトレックス クリエグステイニ
白亜紀前期(?)
中国
全長 2.6m
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白亜紀前期のティラノサウルス科の恐竜。これまで、白亜紀後期のティラノサウルス科の恐竜の小さな前肢は、大型化した頭部とのバランスを取るため小型化した、という説がありましたが、このラプトレックスが時代がより古く、また頭も小さく、体も小さいにも関わらず前肢がすでに小さいため、ティラノサウルス科の小さな前肢は、頭部の大型化とは関係が無い、という事の根拠になりそうだったのですが、、、、
その後、このラプトレックスが白亜紀後期のモンゴルから発見される大型ティラノサウルス科のタルボサウルスの子供ではないか、と言う説も出されています。これは、そもそもこのラプトレックスの化石は化石収集家が私的に購入したもので、発掘された場所が確定されていない、という事が原因でもあります。化石は、化石そのものだけでなく、発見された場所やその地層のデータ、発見された状態等にも非常に重要な情報があります。学術的な発掘の場合は当然、すべての記録をしっかり取るのですが、そうでない場合は、そのデータも無い事が多く、それが故に化石自体は良い物であっても、研究するには支障が出てくる場合もあるのです。
今回のイラストは、2011年の東京・国立科学博物館で開催の恐竜博2011で展示の全身骨格を基に描いています。ラプトレックスの復元に関しては、オフィシャルなイラストと模型が発表されています。特に頭部の復元模型は個人的にも非常に納得の行く物で、いまさら私がイラストを描く必要も無いのですが、全身骨格が魅力的だったので、描いてみたくなったのです。ただ、オフィシャルのイラスト・模型と全く同じでもつまらないので、羽毛の生え方・量は違うものにしました。オフィシャルのものより全体的に羽毛が多いのですが、小さい恐竜といっても、現生の鳥類に比べれば大きく、ダチョウくらいのボリュームはあるので、ここまで全身が羽毛だったかは、自信が無いところです。
ラプトレックス頭部復元模型
(恐竜博2011にて撮影)
前肢は、今や定番の復元となっている、手のひらが内側を向く小さく前へ倣えスタイル。
手のひらが後ろを向く哺乳類のような、いわゆる「恨めしやスタイル」の復元は、ここ数年では随分少なくなりました。
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主な参考資料
・「恐竜博2011」カタログ
・Reanalysis of “Raptorex kriegsteini”: A Juvenile Tyrannosaurid Dinosaur from Mongolia
Fowler DW, Woodward HN, Freedman EA, Larson PL, Horner JR (2011)
(イラスト・文 ふらぎ)
(恐竜・古生物イラストブログ「Extinct Creatures」)