2010年5月17日月曜日

マストドンサウルス Mastodonsaurus

マストドンサウルス
Mastodonsaurus
三畳紀前期~後期
全長 最大6m



大型の絶滅両生類です。
以前は頭が全身の1/3を占めるような特異なプロポーションで復元されていましたが、現在では、その後に発見された標本等を元に、それほど頭の比率は大きく無かったとされています。上顎の先に開いている穴のうち、前の2つは閉口時に下顎の先端近くの牙が収まっていた、と考えられています。

化石両生類は、現生の両生類を参考に比較的凹凸の無い、滑らかな皮膚で表現される事が多いのですが、マストドンサウルスを含む分椎類の仲間には背中に装甲板のような皮骨が発見されているものもあり、また系統的には現生の両生類ともそれほど近いわけでも無い事を考慮すると、ゴツゴツとした体表だった可能性も考えられるのでは、と思い、今回のイラストもそのように表現してみました。また前後肢の爪は無い表現にしています。
分椎類の上顎表面にははっきりとした溝が認められる事があり、これは何らかの機能を持っていたと思われます。分椎の復元の際には、この溝をどう捉え表現するかもポイントの一つになるかと。

「古脊椎動物図鑑」のマストドンサウルスの項には、「日本にこの類の化石がまだ発見されていないのはさびしい」という著者・鹿間時夫氏のコメントがありますが、その約30年後には日本でも化石が発見されました。なんだか、ちょっと良い話です。

参考資料
・"REVISION OF THE TYPE MATERIAL AND NOMENCLATURE OF MASTODONSAURUS GIGANTEUS (JAEGER) (TEMNOSPONDYLI) FROM THE MIDDLE TRIASSIC OF GERMANY"MARKUS MOSER and RAINER SCHOCH
「The RISE of AMPHIBIANS」
「古脊椎動物図鑑」
「両生類の進化」
「ドラえもんのびっくり古代モンスター」
ドラえもん関連書という事で児童書として扱われる事が多いですが、
古生物本としては非常に情報量の多い内容になっています。

Tyler Keillor "Saharastega moradiensis"

追記(2011年9月11日)
日本で最初に発見された分椎類の論文が発表されました。
"The first temnospondyl amphibian from Japan"
Yasuhisa Nakajima , Rainer R. Schoch

(イラスト・文 ふらぎ)
恐竜・古生物イラストブログ「Extinct Creatures」)