更新世~完新世・クレタ島
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クレタ島で発見された固有のシカ・Candiacervus属です。これまでに数種類が知られています。
クレタ島には大型の捕食者がいなかったので、素早く逃げる必要が無い為にこのシカの脚は短くなりました。
安定性が増した体は、山地の環境で生活するのに有利だった様です。
Candiacervus属最小のropalophorus種以外の種は、気候が温暖化した際に海水面の上昇などによる生息環境の変化を受けて絶滅していったとされます。しかし生き延びたropalophorus種も、恐らくヒトとの接触により絶滅した様です。
今回のイラストは、ギリシャのMuseum of Palaeontology and Geology of University of Athensに展示する為に作られた復元骨格を基に描きました。
この復元された骨格はCandiacervus属の二番目に小さな種類で、同じ場所・地層で発見された複数のオスの骨と、三種類ある角のタイプの内一つを組み合わせて作られたそうです。
描いた後で、膝を伸ばしすぎたせいで腰が少し高くなっているのがおかしいなと気付きました。また、少し資料を探していたら、このシカの角は先の方が薄く平たかったらしい事が書いてあり、この絵はそこを間違えているのが一番問題かな、という感じです。
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参考にした資料
・"The mounting of a skelton of the fossil species Candiacervus sp. Ⅱ from Liko Cave, Crete, Greece"
(Insular Vertebrate Evolution vol. 12, p.337~346, 2005)
Alexandra Van Der Geer, John De Vos, George Lyras & Michael Dermitzakis
・"Relative growth of the Metapodals in a Juvenile island deer:Candiacervus (Mammalia, Cervidae) from the Pleistocene of Crete"
(Hellenic Journal of Geosciences, vol. 41, p.119-125)
Alexandra Van Der Geer, Michael Dermitzakis & John De Vos
・"Pleistocene Deer Fauna in Crete: Its Adaptive Radiation and Extinction"
John De Vos
(日本熱帯生態学会誌 vo.1, 2000, p.125~134)
(文・イラスト meribenni)