2011年7月1日金曜日

シノニクス Sinonyx jiashanensis



Sinonyx jiashanensis
シノニクス ジアシャネンシス
暁新世後期 東アジア(中国)
 シノニクスは、絶滅した蹄を持つ雑食~肉食哺乳類・メソニクス目に属します。
短い四肢に長い尾、体に不釣り合いに見えるほど大きな頭を持つなど、現生の哺乳類には無い様な独特なフォルムをしていました。
その頭骨の非常に発達した矢状稜が、個人的にはとてもかっこよく思えてかなり好きな古生物です。
 今回のイラストは、国立科学博物館名古屋港水族館に展示してある全身復元骨格をもとに描きました。他に形態に関する資料があまり見付からなかったので、ほぼ全身骨格からのみの復元です。
全体的なイメージは、以前描いたパキヤエナの論文からの類推、また現生の食肉目を参考にしました。
 描き上げてから見直すと、スカベンジャーっぽくイノシシ的な雰囲気を出した方が、よりそれらしい感じだったかな? とも思います。
また、後肢の中足骨の部分が長過ぎるのでちょっと良くないですね。
上の二点に気を付けて、また描いてみたい古生物です。

主な参考資料
・シノニクス全身復元骨格
"Functional and behavioral implications of vertebral structure in Pachyaena ossifraga (mammalia, Mesonychia)"

Xiaoyuan Zhou, William J.Sanders, and Philip D. Gingerich
(Contributions from the museum of paleontology the university of Michigan, Vol. 28, 1992)

Xiaoming Wang & Richard H. Tedford, Mauricio Anton (Columbia University Press)
Jonathan Kingdon (Univ of Chicago Press)
Jonathan Kingdon (Univ of Chicago Press)

(イラスト・文 meribenni)


 シノニクスを含むメソニクス目は、鯨類の直接の祖先の一群として長年重要視されてきましたが、ここ20年ほどの間の新発見や分子解析等、化石・現生動物双方の研究から、現在では鯨類の先祖という地位からすべり落ちてしまいました。とはいえ、meribenniさんの解説にもある通り、なかなか個性的な頭骨や蹄に近い形状をしていたとされる足等、復元の題材としては魅力的な動物である事に変わりありません。
(ふらぎ)