2011年2月20日日曜日

プテロダクティルス コキ Pterodactylus kochi




 














Pterodactylus kochi
プテロダクティルス コキ


ヨーロッパ
翼開長 最大約50cm
ジュラ紀後期
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 プテロダクティルス属は、翼竜の中では小型の部類ですが、翼竜として最初に発見・報告され、また標本が多い事でもよく知られています。

 他の古生物の例と同じく、翼竜の復元も様々な説が発表されています。以前は爬虫類のような皮膚を持つ動物として表現されていましたが、1970年代以降はより保存状態の良い化石の発見や、その他の研究により、体毛をもった動物としての表現が定着しています。地上での姿勢に関しても、現生のコウモリに近い、地面を這うような姿と、前後肢をほぼ直立させた姿等、幾つかの説があります。さらに翼の膜の形状についても諸説あり、今回のイラストでは、"The extent of the pterosaur flight membrane.(Elgin, R.A., Hone, D.W.E and Frey, E.)の中での考察に基づき、翼の皮膜は膝に繋がる説を採用しています。地上姿勢はコウモリ型と直立型の中間、といった感じでしょうか。地上姿勢や翼の膜に関しては、翼竜の中でも種類によって幾つかのバリエーションがあったのではないか、と考えられているようです。

 プテロダクティルスと言えば、奇妙な形のトサカをもつ種類が多い翼竜の中でもトサカが無い種類とされる事が多いのですが、現在では近縁種の化石の観察から、プテロダクティルスにもトサカがあったのでは、とも考えられ、その説に沿った復元画も見られます。今回のイラストですが、プテロダクティルスのトサカの形状がはっきりと分る資料が手に入らなかったため、トサカ無しとして描いています。一方で、翼竜の中には、トサカがあるのはオスという種類の報告もあるので、その説に従えば、このイラストもメスを描いている、とすれば(とりあえずは)良いのかも知れません。

























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主な参考資料

"How to Tell a Pterodactyl's Sex: Dino-Era Riddle Solved by New Fossil Find"(ScienceDaily)

・"The extent of the pterosaur flight membrane." Elgin, R.A., Hone, D.W.E and Frey, E.

・"Sexual dimorphism of Pteranodon and other pterosaurs, with comments on cranial crests" S. Christopher Bennett

Pterosaur.net

・「翼竜」(ペーター・ヴェルンホファー 平凡社)

・「世界最大の翼竜展」展覧会カタログ

(文・ふらぎ/イラスト・ヤマモト

2011年2月14日月曜日

ヒュプロネクトル Hypuronector
















Hypuronector limnaios
ヒュプロネクトル リムナイオス

北米
全長 12cm
三畳紀後期
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ヒプロネクター、ハイプロネクター等と表記される事もありますが、ここではラテン語読みに合わせています。
如何にも木の葉に擬態したような尻尾と、長い四肢が特徴的な爬虫類です。尻尾の形と化石が湖の底で形成された地層で発見されている事から、水生生活説が一時提唱されましたが、現在では樹上生活をしていたと考えられているようです。一方で、その尻尾をラダー(舵)として、長い前後肢の間に皮膜を持つ、ムササビのような滑空する動物としての説もあり、海外の書籍にはそのようなイラストも見られます。系統的には、樹上生活する動物と考えられているメガランコサウルスやドレパノサウルスを含むドレパノサウルス形類に属するとされています。

今回のイラストでは、まだ発見されていない前後の指骨と、首、上顎の部分の詳細は描いていません。樹上生活説として描いていますが、現生の樹上生のトカゲのような、樹皮に張り付くように移動すると考えると、下方向に幅のある尻尾が移動の時に邪魔にならなかったのか、という疑問も。長い四肢で体を持ち上げていたのか、枝から体を吊り下げるよう移動をしていたのか(Alain Beneteau氏がこの復元でイラストを描いています)。また、この尻尾が葉への擬態としても、この尻尾の形に近い植物が同じ時代・地域に存在していたかどうかも気になります。シンプルなデザインですが、考え出すとなかなか不思議な動物です。


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主な参考資料

・The Hairy Museum of Natural History
「Monkey-Lizards of the Triassic」  

・"The taxonomy and paleobiology of the Late Triassic (Carnian-Norian: Adamanian-Apachean) drepanosaurs (Diapsida: Archosauromorpha: Drepanosauromorpha). New Mexico Museum of Natural History and Science Bulletin 46," Renesto, Silvio, Spielmann, Justin A., Lucas, Spencer G. and Tarditi Spagnoli, Georgio,

・"A new and unusual aquatic reptile from the Lockatong Formation of New Jersey (Late Triassic, Newark Supergroup)." Colbert, E. H., and Olsen, P. E. (2001).

・「The World Encyclopedia of Dinosaurs & Prehistoric Creatures」
Dougal Dixon

・「La Terre avant les dinosaures 」Sebastien Steyer

(イラスト・文 ふらぎ
恐竜・古生物イラストブログ「Extinct Creatures」)