ペルム紀~三畳紀前期
アメリカ、オーストラリア、ロシア、日本
渦巻き状の歯しか見つかっておらず、その全体像は今まで数多くの復元が試みられてきた絶滅種のサメです。その復元のバリエーションの多さは、ネット検索して頂ければ一目瞭然。ただ、そのほとんどで渦巻き状の歯が口の先にある、という考えに基づいており、それに伴い、長めの顔のサメとして表現されています。
おそらく、一番一般的な方向性での復元。
とはいえ、口(というか鼻先)がこの復元のように細長いサメ(物によってはさらに細長く表現されている事もあります)、というのは化石種、現生種のサメを通じて多いとは言えません。そこで、見た目、普通のサメのような顔の復元の可能性がないものか、と調べてみました。
(イラスト・ヤマモト)
ネコザメ型復元。これは神奈川県立生命の星・地球博物館特別展「ザ・シャーク」で試みられた復元の一つ。従来の復元の先入観を排し、歯の形状、摩耗等を考慮してみたもの。このイラストは小田隆氏による頭部復元画を元に全身を描いて貰いました。ただ、これは私の指示なのですが、今回の記事のイラストは、先の一般的なタイプもこのネコザメ型も現生のサメを元にしており、ぺルム紀のサメの表現としては強引な手法とも思います。
さらに数年前にもヘリコプリオン新復元が発表されていました。>こちら。あの歯は口の奥、喉の部分にあります。結果的に、顔も普通のサメ、な雰囲気になっています。個人的には一般的な、歯は下あごの先、上アゴの鼻先が尖っている復元が好きなので、新復元がより正確、という事になれば、ちょっと残念な気もします。またギンザメに近いとも考えられているため、それを考慮するとまた違った姿を想像する事が出来るかもしれません。とにかく、全身の姿が分る化石が見つかる日が楽しみです。
ヘリコプリオンの歯の化石と、復元に関する解説
(福井県立恐竜博物館にて2008年撮影)
追記:2013年にヘリコプリオンはサメよりもギンザメに近いという説が発表されました
>参考記事。
主な参考資料
・神奈川県立生命の星・地球博物館特別展「ザ・シャーク」図録
・サイト「東京大学総合研究博物館」
・「古生代の魚類」(J.A.モイートマス、R.S.マイルズ)
・「小学館の図鑑NEO 大むかしの生物」(監修・日本古生物学会)
(イラスト・ヤマモト 文・ふらぎ)