2012年7月18日水曜日

テムノドントサウルス Temnodontosaurus



Temnodontosaurus trigonodon
テムノドントサウルス・トリゴノドン

全長 9m
ドイツ
ジュラ紀前期

:
ジュラ紀前期の海に生息していた大型の魚竜の1種。日本国内での展示等ではあまり馴染みはありませんが、魚竜を含むジュラ紀の海棲生物化石の宝庫であるドイツから状態の良い化石が発見されており、ドイツの博物館では大型の魚竜はテムノドントサウルス、中~小型魚竜はステノプテリギウスが多く展示されています。

テムノドントサウルスが繁栄したジュラ紀前期には、エラスモサウルス等の大型首長竜類やモササウルス類はまだ現れていないので、テムノドントサウルスのような大型の魚竜が現在のクジラやシャチのような、海の動物の頂点に位置したと考えられます。また、円錐状の歯を持つことから、小さな魚やイカだけでなく、比較的大きな獲物、つまり小型の魚竜等も捕食していた可能性があります(追記:2012年に、歯を持たないと考えられるテムノドントサウルス属の新種報告されています)
外見的には、同時代の他の中~小型魚竜に比べ胴体は細長く、後ビレが比較的大きく、前ビレの1/2~2/3程度の長さがあります。

今回のイラストは、州立シュトゥットガルト自然史博物館に展示されている立体骨格をベースに描いています。ドイツの海棲動物の化石は、基本的には2次元的につぶれた状態での産出なので、立体的に復元された骨格は珍しいのです。また、世界的に見ても大型魚竜の立体骨格はあまり数多くは無いでしょう。













(シュトゥットガルト自然史博物館にて2011年撮影)
シュトゥットガルト自然史博物館には、数多くの見事な海棲爬虫類の標本が展示されていますが、その中でもテムノドントサウルスやエウリノサウルスといった大型魚竜が並ぶスペースは壮観。その中にさらにテムノドントサウルスの立体骨格があるという、魚竜好きにはたまらない博物館と言って良いかと。















主な参考資料

「恐竜解剖―動きと形のひみつ」 
(クリストファー・マクガワン 工作舎)

・「Ichthyopterygia :Handbook of Paleoherpetology Part8」 Christopher Mcgowan & Ryosuke Motani

・ "The Ichthyosauria" Maisch, M. W. & Matzke, A. T.



 (イラスト:ふらぎ  文:ふらぎ)                                       
 (恐竜・古生物イラストブログ「Extinct Creatures)