2010年10月17日日曜日

キロテリウム Chilotherium pugnator

Chilotherium pugnator
キロテリウム・プグナトル
日本
中新世

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 キロテリウム属はサイの仲間ですが、現生のサイの様な角は無く、下顎の切歯が2本大きく前に突き出していました。
今回描いたのは、岐阜県可児市で発見されたpugnator種(カニサイ)です。
と言っても、可児の化石は下顎メインだったりするので、主に同属のanderssoniの復元全身骨格を基に、また、現生のシロサイの写真を参考に描いています。
 頭骨は、上顎に比べ下顎がかなり長く、生存時は物凄く受け口だったのでは、という感じに見えます。しかし、現生のサイも含め大抵の哺乳類は、頬や唇などとても多くの軟組織が顔に付くので、生きている状態だけを見ると頭骨の形はかなり分かりにくいです。骨だけだと印象深い部位も、生体を見ると肉に隠れてほとんど分からなかったりもします。
そんな訳で、下顎も極端に受け口にはせず、切歯が唇からはみ出る程度の顔付きに描きました。
 描き終えて見直すと、首の盛り上がった肉は少しやりすぎたかな、と思いました。キロテリウムの胸椎の棘突起はシロサイの棘突起程には発達していない様なので、シロサイより控えめに描いた方がよりらしく見えたかも知れません。
 この絵は、岐阜県瑞浪市の瑞浪市化石博物館で開催されている第74回特別展・「よみがえる日本の哺乳類たち」の会場に、カニサイの化石と共に展示されています。今日10月17日から12月26日までですので、お近くにお住まいの方は是非ご来場下さい。
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主に参考にした資料
Jordi Aqusti, Mauricio Anton
・"East African Mammals ⅢB" Jonathan Kingdon
(イラスト・文 meribenni)