ダルウィノプテルス・モデュラリス
Darwinopterus modularis
翼開長:0.7~0.9m
発見地:中国
時代:ジュラ紀中期
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ダルウィノプテルスの最大の特徴は、まさしく『ミッシング・リンク』を体現したかのような骨格です。頚椎や頭骨にはプテロダクティルス類の特徴が見られますが、長い足の第五指や長い尾などランフォリンクス類の特徴も見られます。このことから、進化の中間形にあたる種類だと考えられています。
骨格の特徴と、記載年(2010年)がちょうど「種の起源」の出版150周年且つ進化論を提唱したチャールズ・R・ダーウィンの生誕200周年であることから、彼の功績を讃えた学名が名付けられました。
化石の痕跡から、オスの頭の上には軟組織のトサカがあったと考えられています。また、トサカの痕跡がない個体の化石の腹部から卵が発見されたため、トサカはオスだけの特徴だと判明しました(※1)。同時に、翼竜が現在のヘビやトカゲのような柔らかい卵を産むことも分かりました。
模式種のモデュラリス(D. modularis) 以外にも、頭の長さがやや短いリングロングテエンシス(D. linglongtaensis)と、太い歯を持つロブストデンス(D. robustodens)の、2種類の同属別種がいます。それぞれ頭骨や歯の形状が異なることから、種ごとに食性も違ったと考えられています。奇しくも、ダーウィンが研究したガラパゴス諸島のフィンチ達を彷彿とさせる特徴です。
(※1)ただし、体が小さくても卵を産むことができるケースが時々動物に見られるため、未成熟なメスだったという意見もあります。
(イラスト・ふらぎ、解説文・ラクティア)
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・主な参考文献
翼竜の謎―恐竜が見あげた「竜」図録 福井県立恐竜博物館 P.44-49
(模式種記載論文)
LU, Junchang. "A new
boreopterid pterodactyloid pterosaur from the Early Cretaceous Yixian Formation
of Liaoning Province, northeastern China." ActaGeologicaSinica‐English Edition 84.2
(2010): 241-246.
(リングロングテエンシス記載論文)
Wang, Xiaolin, et al.
"New long-tailed pterosaurs (Wukongopteridae) from western Liaoning,
China." Anais da Academia Brasileira
de Ciências 82.4 (2010): 1045-1062.
(ロブストデンス記載論文)
LÜ, Junchang, et al.
"A new darwinopterid pterosaur from the Middle Jurassic of western
Liaoning, northeastern China and its ecological implications." Acta Geologica Sinica‐English Edition 85.3 (2011): 507-514.
(未成熟メスとする説)
Hecht, J. (2011). "Did
pterosaurs fly out of their eggs?" New Scientist online edition, 20 Jan
2011. (http://www.newscientist.com/article/dn20011-did-pterosaurs-fly-out-of-their-eggs.html)