Basilosaurus cetoides
バシロサウルス ケトイデス
全長 約17m
北米(ケトイデス以外の種は、エジプト、イギリス等)
始新世(約4000万年~3400万年前)
現在のクジラ類の先祖の系統と言われるムカシクジラ類の一種。学名には「サウルス」とありますが、これは最初の化石の発見時に爬虫類の一種とされ、それに基づき「トカゲの王」という意味で命名されたからです。
一番の特徴は長い胴体です。ですが、さらに詳細に見ると様々な部分が現在の鯨と違います。その一つが、退化し小さくはなっていますが、後ろ足の骨が残っている事。この骨の大きさから、まだ後足が外見からも見えていた可能性があります。また、頭部にも違いがあります。歯は、口の前半部では鋭い牙状、後半部では山型状という違う形状の歯を持っています。これは哺乳類の特徴ですが(異歯性)、進化したハクジラでは、歯の形の違いは無くなります。さらに頭部も現生の鯨とは違う形をしています。現生の鯨の中にはハクジラとヒゲクジラの2つに大きく分けられますが、その2つが現れるのはバシロサウルスの後になります。
今回のイラストはオーソドックスなスタイルで描いていますが、口の歯の露出に関しては、現生のハクジラを参考に、あまり歯が外に見えない表現にしています。歯がはっきり見えている表現もありますが、それでは口を閉じた時に、しっかり唇を閉じる事が出来ません。これについては、こちらのMarkus Buhler氏のドルドン(バシロサウルス科のクジラ。頭骨形状もバシロサウルスに似ています)についてのイラストが判り易いです(上が歯が露出した表現。下が歯が見えない、現生クジラに近い表現)。
また、今回はケトイデス種の骨格や資料を基に描いていますが、より標本が多く発見されているのはイシス種で、全長もより大きく20mを越えると推測されています。
バシロサウルスの全身骨格の展示は、世界的にもあまり多くは無いようですが、その中の一つが東京・国立科学博物館にあります。今回のイラストも顔の部分などは、科博の展示を参考に描きました。
バシロサウルス全身骨格
(東京・国立科学博物館にて2013年撮影)
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主な参考資料
・「RETURN TO THE SEA」 Annalisa Berta
・「水辺で起きた大進化」 カール・ジンマー
・「新版 絶滅哺乳類図鑑」
・Explore Our Collections ”Basilosaurus"
Smithsonian National museum of natural history
(イラスト・文:ふらぎ)
(恐竜・古生物イラストブログ「Extinct Creatures)