メリテリウム Moeritherium
発見地:アフリカ
大きさ:肩高70cm、体長3m
時代:
新生代古第三紀始新世中期~後期(3700万年前~3500万年前)
メリテリウムは原始的な長鼻類の仲間で、体の大きさは現生のバク程度です。現生のゾウのような長い鼻はなかったようですが、物をつかむことのできる上唇を持っていたようです。前歯は小さな牙のようになっていましたが、現生のゾウのように長く伸びたものではなく、どちらかというとカバの牙に似た形をしていました。
メリテリウムの化石が河成層から見つかること、足の骨と骨盤のつながる部分が小さく,後ろ足が退化していたこと、歯の形状、また歯のエナメル質の同位体比が現生の水棲動物に似ていることから、メリテリウムは半水棲で、川辺や湿地の植物を食べていた可能性が指摘されています。
メリテリウムは原始的な長鼻類ではありますが、現生のゾウの直接の祖先ではないと考えられています。
(イラスト・山本浩司、文・Kris S.)
参考文献
・「新版 絶滅哺乳類図鑑」(
・Delmer, C., Mahboubi, M., Tabuce, R. & Tassy,
P. 2006. "A new species of Moeritherium (Proboscidae, Mammalia) from the
Eocene of Algeria: new perspectives on the ancestral morphotype of the
genus." Palaeontology 49 (2), 421-434.
・Liu, A.G., Seiffert, E.R., Simons, E.L.,
2008. Stable isotope evidence for anamphibious phase in early proboscidean
evolution. Proc. Natl. Acad.Sci. U S A 15, 5786–5791.