2012年4月10日火曜日

カルノタウルス Carnotaurus
















Carnotaurus sastrei
カルノタウルス サストレイ

全長 約8m
アルゼンチン
 白亜紀後期


カルノタウルスと言えば、「肉食の雄牛」を意味する名前の由来にもなった頭部の角と共に、小さい前肢が特徴です。ですが、この前肢は小さいだけではなく、その形自体にも大きな特徴があります。
















肘から手首にあたる、下腕の部分がとても短くなっているのです。これに筋肉や皮膚が付くと、外見的には肘からすぐに手首と指が表れているように見えたかも。少なくとも、一般的な「腕」のイメージとはかけ離れたものでしょう。カルノタウルスの復元をする際には、隠れた、しかし重要なポイントですこの前肢の特徴は、程度の差はあれ、カルノタウルスの近縁のアウカサウルス、マジュンガサウルス等のアベリサウルス類の仲間に見られます。前肢の用途と小型化の理由は、ティラノサウルス科以上に不思議でもあります。加えて、大きな頭部と小さな前肢の組み合わせのティラノと対象的に、カルノタウルスの頭部はそれほど大型ではありません。その組み合わせの違いもまた不思議なところです。

















  




カルノタウルス(2008 茨城県自然博物館・特別展にて撮影)
左下の復元模型は、私が製作したものです。















マジュンガサウルス(恐竜博2006にて撮撮影)















アウカサウルス (大恐竜展2009にて撮影)


主な参考資料
・"A NEW CLOSE RELATIVE OF CARNOTAURUS SASTREI BONAPARTE 1985
(THEROPODA: ABELISAURIDAE) FROM THE LATE CRETACEOUS OF PATAGONIA"

(RODOLFO A. CORIA, LUIS M. CHIAPPE, and LOWELL DINGUS,2002)

"Overview of the history of discovery, taxonomy, phylogeny, and biogeography of Majungasaurus crenatissimus (Theropoda: Abelisauridae) from the Late Cretaceous of Madagascar" 
(Sampson, Scott D.; & Krause, David W.)

・「大恐竜展(1998年 国立科学博物館)」 図録

・「大恐竜展(2009年 国立科学博物館)」 図録

・「恐竜学最前線 7」(学研)

・「肉食の系譜」 カルノタウルス
:
(イラスト:ふらぎ  文:ふらぎ
(恐竜・古生物イラストブログ「Extinct Creatures)

2012年3月5日月曜日

シャロビプテリクス Sharovipteryx















Sharovipteryx mirabilis
シャロビプテリクス ミラビリス

全長20cmキルギスタン

三畳紀後期

:
手足に張った膜で滑空する事が出来たと考えられている爬虫類です。その特徴から翼竜の先祖という説がある一方で、翼竜とは直接には繋がらない、より原始的なプロラケルタ形類の一つという説(1)も有力視されているようです。プロラケルタ形類には、水棲適応のタニストロフェウス等が含まれています。

恐竜に関しては、研究や発見の進展に従う復元の変化についてニュースになる事も多いですが、当然、他の古生物に関しても様々な研究・発見がされています。今回のシャロビブテリクスも滑空時の手足の広げ方、膜の形に幾つかの説があります。今回は、その中で2006年に発表された論文
(2)を参考にしています。


主な参考資料
(1) "An evaluation of the phylogenetic relationships of the pterosaurs among archosauromorph reptiles."
   David W.E. Hone and Michael J. Benton (論文自体は未入手。要旨と関連の記述を参考にしています)

(2) "Flight of Sharovipteryx mirabilis: the world's first delta-winged glider." Journal of Evolutionary Biology.
  Dyke, G.J., Nudds, R.L. and Rayner, J.M.V. (2006).

・「THE PTEROSAURS」 David M.Unwin(2006)

・「翼竜」 ペーター・ヴェルンホファー


(イラスト:ふらぎ  文:ふらぎ



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2012年2月14日火曜日

アナトティタン(?)  Anatotitan

 
Anatotitan copei
アナトティタン コペイ
(Edmontosaurus annectens エドモントサウルス アンネクテンス)
全長 ~13m
北米
白亜紀後期


●アナトティタンはエドモントサウルス?
今回のイラストは、ニューヨーク・アメリカ自然史博物館に現在アナトティタンとして展示されている全身骨格をベースに描いています。


















(アメリカ自然史博物館にて2011年撮影)

この骨格に関しては、恐らく世代ごとに覚えている名前が違うかと思います。私が子供の頃はアナトサウルスでしたが、それ以前はトラコドンという呼び方が一般的でした。そして現在、アメリカ自然史博物館での表記はアナトティタンになっています。ですが、少し前からアナトティタンはエドモントサウルスに含まれるのではないか、という説が有力になりはじめ、2011年に発表された説では、エドモントサウルス・アンネクテンス(Edmontosaurus annectens)の成長&より年をとった個体という事になっています。










エドモントサウルス(イラスト: ヤマモト


個人的には、アメリカ自然史の骨格は子供の頃から何度も本等で見たもので、なおかつ復元の古さはあるものの綺麗な組み立て、加えて他のエドモントサウルスとは違う魅力を持つ頭骨等と、思い入れのある展示骨格です。アナトサウルスからアナトティタンに学名が変わった時に驚いたものですが、アナトティタンという名前は良い響きでもあるので、この名前が消えるのは惜しい気もします。


主な参考資料
・"Cranial Growth and Variation in Edmontosaurs (Dinosauria: Hadrosauridae): Implications for Latest Cretaceous Megaherbivore Diversity in North America"
Nicolas E. Campione, David C. Evans, 2011

・「恐竜博2009 砂漠の奇跡!」 公式カタログ

・「Horns and Beaks」(INDIANA Uniniversity Press)
角竜とハドロサウルス類の専門書。2007年時点までのアナトティタンの学名の変遷についての、詳細な記事があります。


(イラスト:ふらぎ・ヤマモト  文:ふらぎ

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2012年1月16日月曜日

コンカベナトル Concavenator


 
Concavenator corcovatus
コンカベナトル コルコバトゥス
全長 約4m
スペイン
白亜紀前期


コンカベナトルは、2010年に発表・記載されたばかりの獣脚類。ギガノトサウルスやアクロカントサウルス等を含むカルカロドントサウルス類の1種と考えられています。そして、その一番の目立つ特徴は、背中の突起です。この突起は、腰の骨の上では逆に低くなり、腰のすぐ後ろの尻尾では再び高くなります。この腰の部分の凹みは、軟組織で覆われているという解釈で、背中の突起から尻尾までをなだらかに繋ぐ表現が多いのですが、今回のイラストでは、敢えてそこを骨の形状のままに描いています。この凹みがそのまま外見に出るのは、ちょっと不自然かとも思いますが。

また、このコンカベナトルで背中の突起以上に重要なのは、前肢の骨の表面に並んでいた1mmほどの小さな突起です。















(Francisco Ortega et al. (2010) )


同じような物は、コンカベナトル以外ではベロキラプトルのような、カルカロドントサウルス類よりもっと鳥に近い獣脚類で見つかっており、羽根の軸の根元であると考えられています。それを元に羽根の原型を思わせる軸が腕から伸びた復元をされる事が多いようです。今回のイラストも、その表現にしています。

イラストについては、プロポーションを全体的にもう少し細目に描き、中型獣脚類の軽快さを表現しても良かったかも知れません。

背中の突起や羽根の跡とも考えられる突起だけでも重要な発見ですが、頭から尻尾の先までほぼ完全な化石が見つかっているため、この先の研究では、また新たな発見があるかも知れない恐竜です。



主な参考資料
・"A bizarre, humped Carcharodontosauria (Theropoda)
from the Lower Cretaceous of Spain"
Francisco Ortega, Fernando Escaso & Jose L.Sanz


(イラスト・文 ふらぎ
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2012年1月6日金曜日

タテネクテス Tatenectes

Tatenectes laramiensis
タテネクテス・ララミエンシス
全長 約3m
北米
ジュラ紀後期


・扁平な胴体を持つ首長竜
2011年に発表・報告された古生物の中で印象的だった物の一つが、このタテネクテスの新標本に関するものでした。タテネクテス自体は1900年にW.C.Knightよる記載から,これまで部分化石しか見つかっていませんでしたが、昨年発表の論文には、胴体部を中心に見つかった新標本と、それを元に復元された骨格図・復元図も掲載されました。その復元の一番の特徴は他の首長竜にくらべ、横に扁平な胴体に復元されていた事です。首長竜は、その姿を「ウミガメの胴体にヘビの首」と例えられる事もありますが、この論文にあるタテネクテスの胴体は、よりウミガメを連想させるものです。素人目には、より水中での安定が良さそうにも見えます。

・首長竜の尾ビレは?
 また、先の論文にある骨格図には、シッポの部分に尾ビレのシルエットも描かれています。首長竜の尾ビレの存在はこれまでも示唆されていましたが、ここ最近、論文も出され、新しく製作された復元図等では、尾ビレのある物も見られます。ただ、この尾ビレの存在がハッキリ確認されている標本は少ないようで、すべての首長竜に尾ビレがあったのか、またその形がどうだったかは、まだこれからの研究や新発見等を待つ必要があるようです。 首長竜に関しては、その他にも泳ぎ方や首の可動域等、様々な部分が研究中で、シンプルなデザインながらイラストや造形製作の際には悩みどころが多い題材でもあります。


主な参考資料

・"A New Skeleton of the Cryptoclidid Plesiosaur Tatenectes laramiensis Reveals a Novel Body Shape Among Plesiosaurs"
F. Robin O'Keefe,* Hallie P. Street, Benjamin C. Wilhelm, Courtney D. Richards and Helen Zhu
Journal of Vertebrate Paleontology 31(2) (2011)

・"NOVEL ANATOMY OF CRYPTOCLIDID PLESIOSAURS WITH COMMENTS ON AXIAL LOCOMOTION."
Benjamin C. Wilhelm (2010)


(イラスト・文 ふらぎ
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2011年12月18日日曜日

エフィギア Effigia okeeffeae















Effigia okeeffeae
エフィギア オケエフェアエ
全長 約2m
北米
三畳紀後期


小型獣脚類・コエロフィシスの化石が大量に見つかった事で知られるゴースト・ランチで発見された動物で、恐竜ではなく、現生のワニに繋がるクルロタルシ類に属します。クルロタルシ類には、アエトサウルス類やラウイスクス類、フィトサウルス類等も含まれますが、その中で現在まで生き残っているのがワニの仲間です。

恐竜のようなプロポーションとクチバシ状の吻部を持ちながら、恐竜よりもワニに近い系統の動物という事で、発表時には話題になりました。現在では、2010~2011年に開催された「世界最古の恐竜展」で全身骨格が展示されたシロスクス等,似た特徴を持つ近縁種の存在も広く知られるようになっています。

















シロスクス復元骨格(2009 世界最古の恐竜展)


今回のイラストは、 "The anatomy of Effigia okeeffeae (Archosauria, Suchia), theropod-like convergence, and the distribution of related taxa."の骨格図を元に描いています。
いかにも恐竜な姿ですが、頭骨は恐竜と比べても奇妙な形をしており、どこか恐竜とは違う微妙な雰囲気が出せればと思ったのですが、なかなか難しいです。

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主な参考資料
・"The anatomy of Effigia okeeffeae (Archosauria, Suchia), theropod-like convergence, and the distribution of related taxa ; "Nesbitt, Sterling J.(2007)


・「世界最古の恐竜展」図録

(イラスト・文 ふらぎ
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2011年10月3日月曜日

デスモスチルス Desmostylus sp.

Desmostylus
デスモスチルス

北太平洋沿岸 
中新世
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 瑞浪市化石博物館用に描いたデスモスチルスです。
足寄化石動物博物館で展示されている、犬塚則久博士による復元骨格を基にして、海底をゆっくり歩いている様子を描きました。
皮下脂肪はかなり厚めにしているので、全体的に丸っこくなっています。  
 口の周りには太めのヒゲを生やしています。
頭骨の特徴から、デスモスチルスはジュゴンなどの海牛類のように唇の周りに感覚毛(ヒゲ)が密集しており、その感覚毛を使ってエサを探していたという説があり、また、犬塚博士と甲能直樹博士(国立科学博物館)による、貝のような海底に棲む無脊椎動物を食べていたという説から、このような顔になりました。
 ヒゲを使ってエサを探す現生のセイウチも参考にしています。
水族館で飼育されているセイウチは立派なヒゲを生やしていますが、野生のセイウチのヒゲは、使っているうちに摩耗して短くなっているそうです。
確かに野生のセイウチの写真を見るとイメージしていたよりかなり短めなので、デスモスチルスのヒゲもそれに合わせて多少短くしました。

 ラフの段階で、足寄化石動物博物館の澤村寛館長と学芸員の新村龍也さんのご意見を頂き、姿勢等の参考にしました。有難う御座居ました。
参考にした資料

・「絶減哺乳類デスモスチルスの復元」(バイオメカニズム 9, 1988)犬塚則久
・「デスモスチルスの復元 その後」(地質ニュース 421, 1989)犬塚則久
“幻の奇獣”デスモスチルスを知っていますか? -絶滅哺乳類の古生態を復元する- 甲能直樹

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(イラスト・文 meribenni)